働き方改革の推進やテレワークの普及といった世間の大きな潮流を受けて、サテライトオフィスを実際に導入したり、導入を検討したりする企業が今後も増える可能性が予測されます。

一方で、サテライトオフィスの導入にはオフィスとなる物件の賃料や通信回線の整備費用、オフィス用品の購入費用といった種々の費用がかかるため、費用負担の点からサテライトオフィスの導入を見送る企業も多くあるでしょう。

サテライトオフィスの導入に対して国や地方自治体が経済支援をするケースがありますが、具体的にはどの団体がどのような支援策を実施しているのか、見ていきます。

目次

  1. サテライトオフィスには3つのタイプがある
  2. 都市型
  3. 郊外型
  4. 地方型
    1. 都市型の補助金・支援制度
  5. TOKYOテレワーク・モデルオフィス
  6. サテライトオフィス設置等補助事業
    1. 郊外型の補助金・支援制度
  7. 鎌倉市からの支援
  8. テレワーク導入促進事業費補助金(神奈川県)
    1. 地方型の補助金・支援制度
  9. 北海道下川町
  10. 徳島県(「にし阿波」地域)
    1. サテライトオフィスのタイプに合わせた物件選びを

サテライトオフィスには3つのタイプがある

いま注目の集まるサテライトオフィス運営 国や地方自治体が行う補助金・支援制度を紹介
(画像=Андрей Яланский/stock.adobe.com)

一口にサテライトオフィスといってもタイプ別に分類され、各々の設置場所によって利用目的や利用対象者が異なります。まず、サテライトオフィスの分類は以下の3つです。

  • 都市型
  • 郊外型
  • 地方型

都市型

都市型サテライトオフィスは、オフィス街などでのアポイント間の隙間時間を効率よく活用できるように都心部に設置されたサテライトオフィスを指します。主に営業職などの、拠点間の移動が日常的に多い職種の利用に適したワークスペースの一つでしょう。

都心部に設置されているため交通の利便性が優れている点、賃料が高いといった点の特徴が想定されます。都心部のオフィス街への訪問営業が多い職員にとって便利な形態といえそうです。

郊外型

郊外型サテライトオフィスは、都心部近郊の住宅地またはターミナル駅に設置され、周辺に生活拠点を置く従業員の通勤時間の短縮や仕事と育児および介護との両立を主な目的としています。

都心部にある本社オフィスまで行かなくても仕事ができる職種や時短勤務の従業員などのニーズを満たすのがサテライトオフィスです。郊外に設置されるため都心部ほど賃料が高くない、各従業員の生活拠点を広く把握したうえで設置場所を吟味する必要があるという点が想定されます。

地方型

地方型サテライトオフィスは、都心部から遠く離れた遠隔地に設置されます。地方に在住しながら都心部の会社に勤めたいという従業員の労働環境を整備する目的や、災害時に都市機能が麻痺した場合に備えて地方でも事業継続ができるようにすることを目的としたサテライトオフィスを指します。

地方に在住する優秀な人材を確保することやBCP(事業継続計画)対策に寄与することを目指して設置されます。地方に設置されるため賃料が安い、落ち着いた静かな労働環境を整備できる、利用者が極端に少ない場合にコストパフォーマンスが悪くなる可能性があるという点が想定されます。

都市型の補助金・支援制度

東京都が行っている都市型サテライトオフィスへの支援策は、以下2つが挙げられます。

  • TOKYOテレワーク・モデルオフィス
  • サテライトオフィス設置等補助事業

TOKYOテレワーク・モデルオフィス

「TOKYOテレワーク・モデルオフィス」とは、都内在住または勤務の個人事業主や企業等の従業員が無料で利用できる登録制のサテライトオフィスです。府中市・東久留米市・国立市の3ヵ所に設置されており、フリーアドレス席や個人用ブース、テレフォンブースといった新しい設備が導入されています。

サテライトオフィスを設置したいが、費用の拠出が難しい企業や本格的な設置に向けてまずはサテライトオフィス利用時の効果測定を行いたいという企業に適した支援策といえそうです。

サテライトオフィス設置等補助事業

「サテライトオフィス設置等補助事業」とは、東京都が都内の市町村部(23区外)にサテライトオフィスを新規開設する企業や団体等に対してサテライトオフィス開設時のオフィス環境整備費および運営費の一部を補助するものです。

従業員の働く場所と住居を近接させる「職住近接」を実現させることで、働き方改革の拡充を目的としている制度です。

郊外型の補助金・支援制度

関東圏の郊外において行われている郊外型サテライトオフィスへの支援策として、以下2つが挙げられます。

  • 鎌倉市からの支援
  • テレワーク導入促進事業費補助金(神奈川県)

鎌倉市からの支援

鎌倉市では、一定の条件を満たす情報通信系の企業が同市内にオフィスを開設する際に補助金を支給しています。オフィス賃料やシェアオフィスを新規開設する際のリフォーム費といった諸経費の一部に対して補助金が支給されるというものです。

ワーケーションの一環としてサテライトオフィスを同市内に新規開設する企業への手厚い支援策になりそうです。

テレワーク導入促進事業費補助金(神奈川県)

神奈川県では、新型コロナウイルスの感染防止のため、同県内のサテライトオフィスを含むテレワーク導入の中小企業に対し、導入に関する経費の一部に対してテレワーク導入促進事業費補助金を支給しています。

新型コロナウイルスの感染防止の一環でテレワーク環境の整備が急務とされ、突発的な費用負担に見舞われた企業の救済となり得る支援策といえそうです。

地方型の補助金・支援制度

地方型サテライトオフィスへの支援策として、都道府県や町の単位で行政機関が施策を打ち出しています。具体例として以下2つの地域における支援策が挙げまれます。

  • 北海道下川町
  • 徳島県(「にし阿波」地域)

北海道下川町

北海道下川町では、サテライトオフィスの誘致をはじめ、地域が抱える課題の解決に取り組む人材誘致を行っており、Wi-Fi環境やデスク、イスなどのワークスペースに必要な設備を備えた施設が複数用意されています。

加えて、同町に事業の拠点を置き、地域にとって有益な事業の創業・開業をする事業者に対して、一定の審査に通過することを条件に補助金を出す「起業化促進事業」という制度を設けています。

徳島県(「にし阿波」地域)

徳島県の「にし阿波」地域は、東京や大阪に本社を置くベンチャー企業などが同地域内にサテライトオフィスを開設したことで、若年層の呼び込みや地域雇用の創出をもたらしたことで有名です。地方型サテライトオフィス誘致の先駆者として成功事例を多く残した地域といえるでしょう。

同地域は、サテライトオフィス開設事業者への支援制度として「ふるさとクリエイティブ・SOHO事業者誘致事業補助金」や「情報通信関連事業立地促進補助金」といった補助金制度を用意しており、事務所の賃料や通信回線の使用料などに対する補助を行っています。

いずれの地域の事例においても、都市部に本社を置く企業のみならず地元で働くことを希望する個人事業主に対しても広く支援を行っており、今後は他の地方においても都市部と地方の場所的な障壁をなくす手段としてサテライトオフィスの活用が加速するかもしれません。

サテライトオフィスのタイプに合わせた物件選びを

サテライトオフィスには3つの種類があり、それぞれ利用目的や利用対象者が異なるうえに、受けられる支援策の内容も異なります。サテライトオフィスの運営に際しては、利用対象者を想定することからはじめ、利用対象者像から逆算して設置エリアを厳選していくことが得策です。

設置検討エリアにおいて受けられる支援制度を隈なくチェックし、より少ない費用でより多くの利用者を取り込めるサテライトオフィス環境を構築していきましょう。

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