築古マンションの末路…大規模修繕を怠って放置すればこうなる!
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本稿は「1棟マンションを所有している」「これから購入したい」といった人に読んでいただきたい内容です。1棟マンションは経営規模が大きい分、成功すればまとまったリターンを得られますが失敗したときには大きな痛手を負う可能性があります。ここでは、1棟マンションが末路に至るまでの流れを確認することで「どこで失敗したか」「途中で改善する方法はなかったか」について考察します。

1棟マンションが末路に至るまでの流れとは

マンションは、ある日突然空室だらけになるわけではありません。期間をかけて潜在的にリスクが高まりそれが顕在化したときは「もう手遅れ」というのが一つのパターンです。

1.「大規模修繕できないこと」がすべての始まり

1棟マンションが空室だらけになる根本的な原因は、以下の3つが考えられます。

  1. 周辺の入居者ニーズが低下した
  2. 地盤沈下や地震で建物がダメージを受けた
  3. 適切な大規模修繕を行えなかった

1と2は、オーナー個人の力ではどうにもならない面がありますが3は、オーナーの選択や行動次第で大きく左右される内容です。そのため本稿では大規模修繕を行えなかった原因についてフォーカスしていきます。マンションの安定経営のために大規模修繕が必須です。しかしオーナーが大規模修繕を怠ってしまった理由はなぜでしょうか。主に以下の2つの理由が考えられます。

・大規模修繕コストを収支に組み込まなかった
カリスマ不動産投資家の藤原正明氏は、著書『改訂版 はじめての不動産投資 成功の法則』の中で(中古マンションを購入した場合はたいてい)「数年内に修繕の必要が出てくるため、収支に組み込む必要があるでしょう」と述べています。とはいえベテラン不動産投資家でなければ大規模修繕にどれくらいの費用がかかるのかをイメージすることは容易ではありません。

そのため藤原氏は「管理会社や工事業者に事前に見積もりを取っておけば、将来発生する費用を事前に把握できる」とアドバイスしています。
(引用・参照:藤原正明著『改訂版 はじめての不動産投資 成功の法則』)

・購入してすぐ大規模修繕が必要になった
大規模修繕の周期は、マンションによって異なりますが12年前後といわれています。中古の1棟マンションを購入した場合、「過去に必要な修繕を行わず周期を過ぎていた」「大規模修繕の寸前であった」というケースも少なくありません。このような1棟マンションを買ってしまった場合、キャッシュフローをまだ得ていないため大規模修繕のための費用はオーナーの持ち出しとなります。

しかしそれが難しい場合は、修繕ができないため放置するしかありません。

2.条件面の調整でなんとかもちこたえる

大規模修繕を行わなくてもしばらくの間何事もなくマンション経営を続けられるケースも多いでしょう。しかし建物や室内の傷みが目立つようになってくると徐々に入居者が決まりづらくなります。それでも以下のような条件面の調整を行えばしばらく持ちこたえられるケースもあるでしょう。

  • 家賃の値下げを行う
  • 敷金0、礼金0にする
  • フリーレントにする
  • ペット可にする
  • 同居可にする
  • 入居者の審査要件を緩める など

3.収支が悪化してオーナーに危機感が出てくる

建物や部屋がさらに傷んでくると条件面の調整だけでは、入居者が決まらなくなってくるでしょう。この段階では、空室が埋まらないうちに新たな空室が生まれたりさらに空室が発生したりする悪循環に陥ります。収支が厳しくなってきたことで危機感を覚えるオーナーも多いかもしれません。

4.仲介会社のモチベーションが下がる

オーナーの危機感とは裏腹に空室が増え出した築古マンションは、仲介会社や管理会社のモチベーションがすでに下がっています。なぜなら入居者を案内しても断られる可能性が高いため、ほかの物件を案内したほうが効率的だからです。もちろん正面から「案内してもしょうがない」という管理会社や仲介会社はありません。

「様子見しましょう」「賃貸マーケットが厳しい」などその場をとりつくろう対応をされる場合もあるでしょう。

5.オーナー自身のモチベーションが下がる

管理会社や仲介会社にいくら相談してもラチがあかないため、最終的にはオーナーのモチベーションも下がり放置する可能性が高くなるでしょう。その結果、さらに空室が増える悪循環に陥ります。この段階や途中段階で売却を考えるオーナーもいるかもしれません。しかし大規模修繕が行われず空室だらけの築古マンションでは、売れない可能性や売れたとしても買いたたかれてしまうこともあります。

それでもローン返済が終えていれば売却することも選択肢の一つとなるでしょう。しかし残債がある場合は、売却すると借金が残るため、損切りできないケースも少なくありません。ここまでくるとまさに「にっちもさっちもいかない状況」です。

「1棟マンションの末路」にたどり着くまでに手はなかったのか?

「1棟マンションの末路」にたどり着くまでの流れを振り返りこのような状況に追い込まれたオーナーが「どこで失敗したのか」「どんな対策があったのか」を改めて整理してみましょう。

失敗1:大規模修繕費用を含めて収支計算すべきだった

1つ目は、購入前の失敗です。端的にいえば購入前の段階で「購入する1棟マンションが悲惨な末路をたどるか否か」が決定しているともいえます。1棟マンションの収支は、利回りだけでなく大規模修繕を含めて計算するべきだったといえるでしょう。このようにならないためには、売買契約前に「直近で大規模修繕をいつしたのか」「大規模修繕をした場合どれくらいコストがかかるか」などをしっかりと確認することが必要です。

失敗2:住宅設備に追加投資をすべきだった

2つ目は、大規模修繕をしないために建物が傷み、入居者が少し決まりづらくなってきたと感じた段階の失敗です。条件面の調整で空室を埋めつつそれだけに頼らず「新しい住宅設備を導入する」「追加融資を受けるなどして大規模修繕に踏み切る」「仮に損切りになるとしても売却する」などさまざまな選択肢がありました。

失敗3:ターゲットを変更すべきだった

3つ目は、空室が目立つようになった段階での失敗です。仮にこれまで1人暮らしの若者をターゲットにしてきたのであれば住まいを確保しづらい人(生活保護者やご高齢者など)向けのマンションにリフォームするなどの選択もありました。国や自治体の補助金制度を利用すればリフォーム費用を軽減することも可能です。

末路のマンションは、経営環境を根本から変える発想が大事

末路の1棟マンションを持つ苦しみは、物件を所有している限り続く点は押さえておきましょう。ローンを組んでいる場合は、空室に伴う赤字を埋めるために持ち出しが続きます。ローンが返済できなければ競売にかけられる可能性も出てくるでしょう。もし1棟マンションを所有していてこの状況に追い込まれたときは、これまでの延長線上で考えていても打開策はなかなか見いだせません。

この場合、経営環境を根本から変える発想が必要です。例えば上記で紹介したように思い切って「住まいを確保しづらい人専用のマンション」にする方法もあります。また住宅にこだわらずレンタルスペースやシェアオフィス、サテライトオフィスなどに転用するのも一案です。特にリモートワーク推奨の流れのため、主要駅近辺でコンパクトに使えるサテライトオフィスへのニーズが高まっています。

「どの選択がベストか」は、オーナーの余力・立地・物件の特性によって異なるため、一概にはいえません。自分の力で選択肢を判断できない場合は、リフォームや転用に詳しい専門業者に相談しながら突破口を探ることが賢明です。